奥さまの仕事ぶりと1000円の壁


かなり僭越なことを申し上げますが、店名は伏せさせていただきます。先日、数年ぶりに都内東部にあるご夫婦で経営されている店でラーメンを食べました。その店はラーメンの味もさることながら、接客を担当される奥様の仕事が評価の高い店です。実際、その仕事ぶりを拝見すれば、無駄のない素早い動きと的確な声掛けが、客を待たせながらもストレスなく食べられる環境を作り出しています。

さて、それを感心しつつも、ラーメン一杯850円の価格には様々な問題を考えざるを得ませんでした。この低価格が実現している根底には、従業員を雇わず人件費をかけない運営方針があるのではないかと思います。ズバリ言って、奥様への人件費は考慮されていないのではと想像してしまいます。
現在、ラーメン業界では「価格1000円の壁」が取り沙汰されていますが、この店こそその壁を越えてほしいところです。さて、このような行列店が1割以上値上げした影響はいかなるものになるでしょう。おそらく、開店から閉店まで常に行列ができている状態が続くのではないかと想像します。変化があるとすれば、行列の長さに影響が出るかもしれませんが、最終的な入客数は変わらないと考えます。たとえ入客数が減ったとしても、売上が下がるとは限りません。このような値上げを、客の立場から考えてみても良いことが多いでしょう。たとえば、1時間列に並び850円のラーメンを食べた場合、並び時間を金銭に換算すればいかがでしょうか。東京都の最低賃金を基準に考えれば、1000円以上の余分な対価を支払ったことになります。つまり、1850円のラーメンを食べたわけです。もし並び時間が半分になれば、同じ計算でいけば1350円の対価で食べられたことになります。こうして、本当にこの店で食べたいと願う人にとって、ラーメンは値下げされたことになります。
さらに冷やかし半分で来店し、辛口のコメントを拡散する人も減るかもしれません。

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