下目黒日録　6月11日

　美食紀行とありますが取り上げられている食べ物は随分と庶民的です。
　なかでも老北京（生粋の北京風）の代表として取り上げられている「豆汁児」（ドゥジール）には興味をかきたてらました。
　これは緑豆でハルサメなどを作った残りの滓と水でを原料とする発酵飲料であるそうです。色は灰緑食で酸っぱ味とほのかな甘味をもち、熱々を椀からススっていただきます。夏の暑い時分にこれを飲むと後には随分と爽やかな気分に包まれるそうです。
　しかし、この北京人にこよなく愛されて来た飲料も、発酵物でもあり独特のスエた臭を持ち、取っ付き悪いので有名です。
　そんなディープな味にも著者は容易に受け入れる柔軟性があるようで、益々未知なる味覚を追求していきます。