穀雨＠渋谷

　久々に会った竹田君はいくらか痩せて見えました。店を立ち上げることは容易なことではありません、骨身を削るような努力をしているのでしょう。毎日味が安定しないと今の課題を語っていました。
　いただいてきたのは?油ラーメン。たしかにかづ屋テイストを指摘される味わいです。
　気になっていたのは麺です。製麺所はたんたん亭や八雲と同じところ。かつて私が１０年以上にわたり格闘し続けてきた麺です。その特性を知り尽くした相手といってもよいでしょう。久しぶりに再会し懐かしい感慨に浸りながら味わってきました。
　これは繊細と言っていいかもしれません、またうまく付き合えないときは気まぐれと感じてしまう麺です。しかし丁寧に扱えばたんたん亭系のスープに相性は特段に良いはずです。
　もっとも扱い方に特別な方法はありません、基本的な注意をしっかりと守ることです。
　まずは熟成のポイントを見極めること。この麺は熟成が進みすぎてはこのスープとの相性が悪くなります。私の好みもあるかもしれませんが、切り出して１２時間ぐらいがもっとも扱いやすいかもしれません。
　次に麺茹で。これはもう基本中の基本です。きれいなたっぷりのお湯で、しっかりと泳がしながらゆであげる。火加減は最初は最強で、立ち上がれば沸騰の状態を見ながら加減してやる。このあたりは外せないところかもしれません。
　さてこのように店は立ち上がりましたが、これから先の長い道程が始まったばかりです。これから毎日ラーメン作りに励むのでしょう。商売繁盛を願うところでもありますが、それとともに竹田君の人間的な成長も期待しております。