下目黒日録１１月９日

　白金に台北駐日経済文化代表があります。建前上は日本台湾の間には国交が無いのでこんな名称になるのでしょう。ここは立派な大使館です。ここに詰めて居られるからさしずめ外交官と言うことになりますか、かづ屋のお客様です。先日は月餅を持ってきてくださいました。今回はコンサートのチッケトを差し上げると言われ、白金まで足を運んで欲しいとのことで行って参りました。
　白金庭園美術館の隣に面し木々の生い茂った敷地内に瀟洒な建物。さしてセキュリティも厳しくはなく大使館というよりも大企業のゲストハウスといったところの雰囲気でした。そこでチケットを頂いたのが一昨々日のこと。今日はそれを持って初台のオペラシティに向かいました。
　指揮：呂紹嘉リュウ.シヤオチャによる台湾フィルハーモニーの演奏会。演目はチャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」、グリーグのピアノ協奏曲、ドボルザークの交響曲「新世界より」でした。
　かつて私にとって交響曲と言えばこの「新世界より」でした。二十歳頃、東京にきて間もない時分、ラジカセで繰り返し聴いていました。きっかけは何だったか記憶には残っていませんがすっかりお気に入りとなっていました。その後趣味がモーツァルトやブラームスと移り変わって行き、最後にまともに聴いてから20年くらいのブランクがあると思います。今日あらためて聴いてみてすっかりこの曲の世界に酔ってしまいました。
　指揮も演奏も素晴らしかったと思います。とくに第二楽章の主題を弦楽で奏でるところや、第四楽章の出だしの盛上り部分には心の奥に熱いものがこみ上げて来ました。
　この西洋音楽というジャンルで、ボヘミアの音楽家がアメリカを主題に作曲し、華人が奏で日本人が感動している。なんという多様さでしょう、また見事に調和もしています。。意義深いコンサートでした。