下目黒日録　11月30日

　私逹は日に何杯ものラーメンを作っており、その内の一杯はその日の何分の一杯となりますが、お客様の中にはその一杯が特別の一杯でである場合があります。
　さる客様との会話の中で、数年前重い病の入院を終え、最初の外食として来店された事をうかがいました。お客様にすれば格別の意味合いのある一杯であったそうです。
　毎日の仕事としてラーメンを作っていますが、知らない処で大な意味を果たしているかもしれません。もしもそんな特別の一杯にあたっていつもの品質が保てていなければ実に残念です。
　そんな特別な一杯はどの局面で遭遇しているかは判りようがありません。ならば全てに於いて特別な一杯のつもりで作るべきなのでしょう。心せねばなりません。