下目黒日録　10月7日

　土曜日の夜五反田店に元アルバイトのF君が来店したようです。F君は私に借金がありますが、音信がとれなくなっている人物です。何度電話をすれども応答してくれません。それが彼女を連れてラーメンを食べていったそうです。随分と大胆な行動をとるものです。
　F君はネットワークビジネスを本業としながら五反田店でアルバイトをしていました。4年程前、さることで困窮した彼は私からまとまったお金を借りました。かづ屋で働いて分割で返済してもらう約束をしましたが未だ完済されていません。
　彼の生活も楽ではないようですが連絡位はしてほしいです。このままで済むほど社会は甘くないのを知らないのでしょうか。
　ネットワークビジネスといえば私もすこしばかり絡んだ思いでがあります。
　今から40年前、私が工業高校を卒業して大阪で働きだした年の夏、高校の先輩に呼び出された先がマルチ商法の集会でした。行ってみれば１つ上の学年の生徒会の執行部の半数ばかりが集まってまており、なにやら信頼してよさそうな雰囲気がありました。しかし一同を召集したのは2つ上の先輩X(名前は忘れました)で実際にマルチ商法の活動していたのはこの人だけだったようです。
　当時の私の見識は高校生と変わらず、マルチ商法の実態も知りませんでした。しかし2回ほど集まりに参加しその概要を知ると、とても出来る事ではないと覚り、以後の参加をお断りしました。
　マルチ商法はネットワークビジネスと名前は変われど実態は同じと認識しています。魅力的なお儲け話として持ちかけられますが、成功には大変な困難を伴うビジネスと考えています。今までネットワークビジネスに参加している方と知り合う機会はありましたが、成功しているとは聞いた事はありません。それらの方から成功者の話を聞く事はあっても、実際にその成功者自身にはついぞ面識はえられません。裕福になった人もいるかもしれませんがどれくらいの比率でしょう。
　この仕事の困難さは人を募りビジネスに参加させなくては利益にならない処でしょう。しかし世間のこの仕事に対する評価は厳しいものがあります。またインターネット上の情報も否定的な話で溢れています。そんななかでこの仕事に参加する人は実に希といえます。
　私が昔誘われたマルチ商法の商品は車の燃費改善の器具でした。当時聞いた話では、これは画期的な商品であるから近いうちに日本中の車が装着する事になるでした。F君の言っていた話は、彼の扱っている商品は化粧品業界に革命を起こし今ある化粧品会社は生き残れないです。どちらも今に至るもそんな状況になる気配もありません。よく巷の人の覚めた眼差しから聞かれる言葉は、商品が優秀であれば普通の販売方法で充分に売れるのではないかです。まさに世間はそんな判断を下しているわけで、これではビジネスに参加を募っても断られるはずです。