下目黒日録　10月1日

　かづ屋のスタイルは細かな処を考えれば随分とあるかもしれません。
　例えば注文はご来店の順番どおりに伺う。当たり前ではありますが、店によっては無秩序にオーダーされている所も見受けます。そんなお店もあるせいか、かづ屋にご来店された方のなかには自分の注文が決まり次第スタッフに伝える人もいらっしゃいます。その場合必ず順番であることを納得していただいています。
　しかし圧倒的多数の常連様は店の流儀を熟知されているので注文が決まった後もスタッフがお伺いするのをじっと待っておられます。それはお客様がよく判っていらっしゃると共に店を信頼して下さっているのだと思います。
　店の流儀に従っていただく。これは従業員の仕事が容易になる以上にお客様が心地よく過ごしていただけるか為の事です。お客様が店を信頼していただければ、より速く美味しく召し上がれます。
　しかし店の流儀に従っていただこうとして不快な思いを与えては意味がありません。また従っていただく限りには、決して間違いない仕事を成さねばなりません。その自信があって始めてお客様に、店の流儀に従っていただく事ができます。
　自分の力量も図れず、店の流儀とすこしばかりずれるだけで不遜な態度をとる者はとても残念と言えます。